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最高裁判所第三小法廷 昭和41年(オ)739号 判決 1973年5月29日

上告人 佐藤彰朔 外一名

被上告人 国 外二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理由

上告代理人長谷川毅の上告理由について。

鉱業法第三条にいう「けい石」とは、遊離けい酸鉱物を主成分とする地下資源をいうものであるところ、本件鉱物(または岩石)は、そのけい酸分の大部分をはり質中に主としてけい酸塩として含有しており、遊離けい酸鉱物としてのけい酸分はごく微量であつて、成分の類似性、用途の同一性といつた面を合わせ考えても、同条にいう「けい石」にはあたらないとした原判決の認定判断は、挙示の証拠関係に照らして首肯でき、この認定の過程において採証法則違背は認められない。所論は、右と異なる見解に立つて原判決を非難するか、主要事実でない間接事実についても主張責任がありその判断の経過を示すべきであるとし、書証についての排斥の判断が示されていないとする等、独自の見解に基づいて原判決を非難するものであるが、原判決に所論の違法はない。論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 江里口清雄 関根小郷 天野武一 坂本吉勝)

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